令和4年 問10
特許戦略を策定する上で重要な“特許ポートフォリオ”について述べたものはどれか。
ア 企業が保有や出願している特許を、事業への貢献や特許間のシナジー、今後適用が想定される分野などを分析するためにまとめたもの
イ 技術イノベーションが発生した当初は特許出願が多くなる傾向だが、市場に支配的な製品の出現によって工程イノベーションにシフトし、特許出願が減少すること
ウ 自社製品のシェアと市場の成長率を軸にしたマトリックスに、市場における自社や競争相手の位置付けを示したもの (Management of Technology)
エ 複数の特許権者同士が、それぞれの保有する特許の実施権を相互に許諾すること
正解の理由(令和4年 問10)
特許戦略は、自社が開発した発明や今後開発する発明を活用して会社の利益や価値を最大にするため、他社が取得している特許の状況を踏まえ、自社の特許の取得、保護、活用について手段や方法を考えることを指します。
ア 「企業が保有や出願している特許をまとめたもの」とあるので、特許ポートフォリオについて述べたものです。
シナジーは、相乗効果・作用の意味です。2つ以上の経営資源などが相互に作用し合う事によって、単体で得られる以上の成果を上げることを指します。
(用語集|【経営課題の解決へ】経営のヒント|中小機構 (smrj.go.jp)より)
よって、正解は ア です。
不正解の理由(令和4年 問10)
イ 「最初にプロダクトイノベーション(他社に負けない新しい製品・サービスの開発)が多く起きたのち、やがてそのなかから支配的な(ドミナント)デザインが決まり、その後はプロセスイノベーション(製品の作り方や提供の仕方の工夫)が増える」は、イノベーション・プロセスについてのモデルであるA-Uモデルについて述べたものです。
ウ 「自社製品のシェアと市場の成長率を軸にしたマトリックスに、市場における自社や競争相手の位置付けを示したもの」とあるので、PPMについて述べています。
PPMは、多種類の製品を生産・販売したり、複数の事業を行ったりしている企業が、戦略的観点から経営資源の配分が最も効率的・効果的となる製品・事業相互の組合せを決定するための経営分析手法です。
エ 「特許権者同士が、それぞれの保有する特許の実施権を相互に許諾すること」とあるので、クロスライセンスについての記述です。
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