令和2年 問2
企業が社会の信頼に応えていくために、法令を遵守することはもちろん、社会的規範などの基本的なルールに従って活動する、いわゆるコンプライアンスが求められている。a~dのうち、コンプライアンスとして考慮しなければならないものだけを全て挙げたものはどれか。
a 交通ルールの遵守
b 公務員接待の禁止
c 自社の就業規則の遵守
d 他者の知的財産権の尊重
正解の理由(令和2年 問2)
a 「交通ルールの遵守」は、コンプライアンスとして考慮しなければなりません。
b 公務員に対する接待は、法令で規制されています。「公務員接待の禁止」は、コンプライアンスとして考慮しなければなりません。
c 就業規則とは、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについ
て定めた職場における規則集です。「自社の就業規則の遵守」は、コンプライアンスとして考慮しなければなりません。
d 知的財産権とは、著作権、特許権など、知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される、「他人に無断で利用されない」といった権利です。「他者の知的財産権の尊重」は、コンプライアンスとして考慮しなければなりません。
よって、コンプライアンスとして考慮しなければならないものは a ~ d なので、正解は イ です。
令和2年 問12
A社では、設計までをA社で行ったプログラムの開発を、請負契約に基づきB社に委託して行う形態と、B社から派遣契約に基づき派遣されたC氏が行う形態を比較検討している。開発されたプログラムの著作権の帰属に関する規定が会社聞の契約で定められていないとき、著作権の帰属先はどれか。
正解の理由(令和2年 問12)
著作権は、手続きを一切必要とせず、著作物が創られた時点で「自動的」に付与されます。
請負契約とは、請負会社が発注主の企業に契約に基づいた成果物を提供して報酬を得る契約です。 労働者は、成果物の納品のために、請負業者から指示を受けます。発注者の指示を受けることありません。
派遣契約とは、派遣会社が発注主の企業(派遣先企業)に労働力を提供して報酬を得る契約です。 労働者は、何の仕事をすればいいか、どのように仕事をすればいいかなど派遣先企業から指示されます。
著作権の帰属に関する契約がない場合の著作権の帰属は、次のようになります。
請負契約の場合は、請負会社
派遣契約の場合は、派遣先企業
「請負契約に基づきB社に委託して行う形態」の場合は、著作権はB社に帰属します。
また、「B社から派遣契約に基づき(A社に)派遣されたC氏が行う形態」の場合は、著作権はA社に帰属します。
よって、正解は ウ です。
令和2年 問13
情報の取扱いに関する不適切な行為a~cのうち、不正アクセス禁止法で定められている禁止行為に該当するものだけを全て挙げたものはどれか。
a オフィス内で拾った手帳に記載されていた他人のIDとパスワードを無断で使い、ネットワークを介して自社のサーバにログインし、サーバに格納されていた人事評価情報を閲覧した。
b 自分には閲覧権限のない人事評価情報を盗み見するために、他人のネットワークIDとパスワードを無断で入手し、自分の手帳に記録した。
c 部門の保管庫に保管されていた人事評価情報が入ったUSBメモリを上司に無断で持ち出し、自分のPCに直接接続してその人事評価情報をコピーした。
正解の理由(令和2年 問13)
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為や、不正アクセス行為につながる識別符号の不正取得・保管行為、不正アクセス行為を助長する行為等を禁止する法律です。
( 不正アクセス行為の禁止等に関する法律|国民のためのサイバーセキュリティサイト (soumu.go.jp)より)
識別符号とは、情報機器やサービスにアクセスする際に使用するIDやパスワード等のことです。
不正アクセス禁止法の禁止行為
不正アクセス行為 | |
他人の識別符号を不正に取得する行為 | |
不正アクセス行為を助長する行為 | |
他人の識別符号を不正に保管する行為 | |
識別符号の入力を不正に要求する行為 |
a 「オフィス内で拾った手帳に記載されていた他人のIDとパスワードを無断で使い、ネットワークを介して自社のサーバにログインし、サーバに格納されていた人事評価情報を閲覧した。」は、不正アクセス行為なので禁止行為です。
b 「自分には閲覧権限のない人事評価情報を盗み見するために、他人のネットワークIDとパスワードを無断で入手し、自分の手帳に記録した。」は、識別符号の不正取得・保管なので禁止行為です。
c 「USBメモリの無断持ち出し」は、電気通信回線を介していません。そのため、不正アクセス禁止法で定められている禁止行為ではありません。
よって、 不正アクセス禁止法で定められている禁止行為に該当するものは a と b なので、正解は イ です。
令和2年 問16
新製品の開発に当たって生み出される様々な成果a~cのうち、特許法による保護の対象となり得るものだけを全て挙げたものはどれか。
a 機能を実現するために考え出された独創的な発明
b 新製品の形状、模様、色彩など、斬新的な発想で創作されたデザイン
c 新製品発表に向けて考え出された新製品のブランド名
正解の理由(令和2年 問16)
特許法は、発明者に所定期間特許権を付与して発明者を保護し、これにより産業の発達を図るために制定された法律です。
(と|用語解説 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)より)
特許権は、産業上利用することができる新規の発明を独占的・排他的に利用できる権利であり、所轄(しょかつ)の官庁への出願及び審査に基づいて付与される権利です。
(基本情報 平成21年春午前 問79より)
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。
a 「独創的な発明」とあるので、保護の対象となり得ます。
b 「デザイン」とあるので、保護の対象になりません。
c 「ブランド名」とあるので、保護の対象になりません。
よって、特許法による保護の対象となり得るものは a だけなので、正解は ア です。
令和2年 問20
労働者派遣は、通常の派遣と、将来の雇用を想定した紹介予定派遣の二つに分けられる。前者の労働者派遣の契約に当たり、派遣先が派遣元に要求する派遣労働者の受入条件として、適切なものはどれか。
正解の理由(令和2年 問20)
「将来の雇用を想定した紹介予定派遣」という文言がでてきていますが、「前者の労働者派遣」とあるので、全く気にする必要はありません。
労働者派遣は、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを指します。
(労働者派遣事業とは (mhlw.go.jp)より)
ア 「候補者が備えるべきスキルの指定」は、派遣先が派遣元に要求する派遣労働者の受入条件として適切です。
よって、正解は ア です。
不正解の理由(令和2年 問20)
派遣労働者を指名すること、派遣就業の開始前に派遣先が面接を行うこと、 履歴書を送付させることなどは原則的にできません。
そのため、次の内容は不適切です。
イ 候補者の年齢及び性別の指定
ウ 候補者の派遣先による事前面接
エ 候補者の履歴書の派遣先への事前提出
令和2年 問25
サイバーセキュリティ基本法は、サイバーセキュリティに関する施策に関し、基本理念を定め、国や地方公共団体の責務などを定めた法律である。記述 a ~d のうち、この法律が国の基本的施策として定めているものだけを全て挙げたものはどれか。
a 国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保
b サイバーセキュリティ関連産業の振興及び国際競争力の強化
c サイバーセキュリティ関連犯罪の取締り及び被害の拡大の防止
d サイバーセキュリティに係る人材の確保
正解の理由(令和2年 問25)
サイバーセキュリティ基本法では、国家、地方公共団体の責務、電気やガスなどの重要社会基盤事業者の責務、サイバー関連事業者その他の事業者の責務、教育研究機関の責務などが定められています。
次の内容は、国の基本的施策として定めています。
a 国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保
b サイバーセキュリティ関連産業の振興及び国際競争力の強化
c サイバーセキュリティ関連犯罪の取締り及び被害の拡大の防止
d サイバーセキュリティに係る人材の確保
よって、a ~ d の全てが国の基本的施策として定めているので、正解は エ です。
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