ITパスポート試験(シラバス6.3) マネジメント系 サービスマネジメント の出題傾向、学習ポイント、重要な用語を説明します。
「サービスマネジメント」出題傾向
Ver.○.○の表示について
用語が初めて掲載されたときの、シラバスのバージョンです。
Ver.4.0、Ver.5.0は、シラバスの比較的新しい用語です。
Ver.6.0と同じく要注意用語です。
表示がないのは、Ver.3以前からシラバスにある用語です。
サービスマネジメント
ITILとSLAの内容を区別して覚えようね。
サービスマネジメント
サービスマネジメントは、価値を提供するため、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を、指揮し、管理することです。
(IT パスポート試験 シラバス6.2より)
ITIL
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)
ITILは、ITサービスの提供とサポートの管理(サービスマネジメント)について、お手本(ベストプラクティス)をまとめたものです。
Information Technology(インフォーメーション テクノロジー)には「情報技術」、Infrastructure(インフラストラクチャー)には「基盤」、Library(ライブラリ)には「図書室」などの意味があります。
次のようなITILの説明が、試験に出題されています。
ITサービスマネジメントのフレームワーク
(ITパスポート 令和元年 問50より)
ITサービスの提供とサポートに対して、ベストプラクティスを提供している。
(ITパスポート 令和3年 問45より)
問題をチェック!
R3年 問45 R2年 問38 R元年 問50
ベストプラクティス
ベストプラクティスは、何かを行う方法や、実際に行った例の中で、最も効率のいい、あるいは、最も効果のある方法や例のことです。
best(ベスト)には「最も優れた」、プラクティス(practices)には「実践(実行すること)」という意味があります。
SLA
Ver.6.3
SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)
SLAは、サービス及びその合意されたパフォーマンス(品質・性能など)が記載された、サービス提供者とサービス利用者との間の合意文書です。
次のようなサービス提供者とサービス利用者双方の利点が試験に出題されています。
サービスの内容、提供範囲、要求水準に関する共通認識をもつことができます。
(ITパスポート 平成26年春 問48より)
問題をチェック!
R5年 問44 R4年 問51 R2年 問39
R6年 問38(計算)
SLO
Ver.6.3
SLO(Service Level Objective:サービスレベル目標)
顧客と合意したSLA(サービスレベル契約)の内容を達成するために、サービス提供者側が設定する目標値を指します。
SLI
Ver.6.3
SLI(Service Level Indicator:サービスレベル指標)
SLIとは、SLO(サービスレベル目標)を満たしているかいないか判断するための測定可能な指標のことをいいます。
サービスマネジメントシステム
この項目から、たくさん問題が出ているよ。
用語のポイントを覚えたら、過去問題で問題が解けるか確認しようね。
サービスマネジメントシステム
Ver.4.1
サービスマネジメントシステムは、
①ITの運用の効率化を図り、
②可用性をはじめとするサービスの品質を高めようとする
マネジメントシステムです。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービス
Ver.4.1
サービスとは、顧客に価値を提供する手段のことです。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービスの要求事項
Ver.4.1
サービスの要求事項には、サービスレベルの実現、システムの安定稼働、セキュリティ、トラブル時の迅速対応などがあります。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービスレベル管理
サービスレベル管理(SLM:Service Level Management)
サービスレベル管理は、サービスレベルを利用者と提供者が合意し、それを維持・改善するためのものです。
(ITパスポート平成27年春 問38より)
次のような、サービスレベル管理の具体例が試験に出題されています。
あらかじめ定めた間隔で、サービス目標に照らしてサービスの傾向及びパフォーマンスを監視する。
(応用情報 平成28年春午前 問56より)
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
需要管理
Ver.4.1
需要管理では、ITサービス利用者の現在の需要を把握(および将来の需要を予測)し、キャパシティ(CPUリソース、ディスク容量、回線容量など)が足りなかったり、多すぎたりせずにサービスを提供できるようにします。
問題をチェック! R5年 問47
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービス要求管理
Ver.4.1
サービス要求管理では、登録情報の変更依頼やパスワードの再発行依頼などの対応をします。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
インシデント
インシデントは、システムやサービスに何らかの問題が発生し、ユーザーが本来できることが出来ない状況を指します。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
インシデント管理
Ver.4.1
インシデント管理では、発生した問題によって生じたサービスの低下や停止から、可能な限り迅速にサービスを復旧させます。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
問題管理
Ver.4.1
問題管理では、将来発生する可能性のある問題の原因を取り除き、問題発生を未然に防ぎます。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
構成管理
Ver.4.1
構成管理では、ハードウェア、ソフトウェアといったIT資産を網羅的に洗い出し、IT資産の管理台帳に記録し管理します。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
変更管理
Ver.4.1
変更管理では、ITサービスに関する変更要求に基づいて発生する一連の作業を管理します。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
リリース及び展開管理
Ver.4.1
リリース及び展開管理では、ITサービスで利用する新しいソフトウェアを稼働環境へ移行するための作業を確実に行います。
問題をチェック! R3年 問37
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービス可用性管理
Ver.4.1
サービス可用性管理では、ITサービスを提供する上で、目標とする稼働率を達成するようにします。
問題をチェック!
R5年 問46 R5年 問47 R4年 問39
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービス継続管理
Ver.4.1
サービス継続管理では、災害があった場合でも、ITサービスが停止しないように、あるいは、ビジネスへの悪影響を最小限にします。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービスの報告
Ver.4.1
サービスの報告は、PDCAサイクルのC(Check)で実施します。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
継続的改善
Ver.4.1
継続的改善は、利用者に一定の品質のITサービスを提供し続けるために行います。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
PDCA
Ver.4.1
サービスマネジメントシステムにPDCA方法論を適用すると、次のようになります。
P(Plan)
サービスマネジメントシステムを確立し、文書化し、合意する。
D(Do)
サービスの設計、移行、提供及び改善のためにサービスマネジメントシステムを導入し、運用する。
C(Check)
方針、目的、計画及びサービスの要求事項について、サービスマネジメントシステム及びサービスを監視、測定及びレビューし、それらの結果を報告する。
A(Act)
サービスマネジメントシステム及びサービスのパフォーマンスを継続的に改善するための処置を実施する。
(情報セキュリティマネジメント 平成29年秋午前 問41より)
問題をチェック! R元年 問48
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービスカタログ
Ver.4.1
サービスカタログは、サービス提供者(IT部門)が提供しているITサービスを、利用者が一覧できるカタログです。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
エスカレーション
エスカレーションは、業務上の下位者が対応できない状態において、下位者が上位者の指示を仰ぐ、または対応を引き継ぐことです。
次のようなエスカレーションの例があります。
一次サポートグループが二次サポートグループにインシデントの解決を依頼します。
一次サポートグループは、利用者とのコミュニケーションの役割を果たすグループです。
二次サポートグループは、専門的技能及び経験をもつグループです。
問題をチェック! R3年 問44
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
ワークアラウンド
シラ外
ワークアラウンドは、障害が発生した際になされる応急処置です。
根本的な問題解決をはかることを前提にして、一時的に障害を回避したり、障害の影響が広がるのを防ぐことです。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
業務及びシステムの移行
Ver.4.1
業務及びシステムの移行では、システム移行計画書に、次のような内容を記載します。
新旧システムの並行運用に関するスケジュール
(ITパスポート 平成26年秋 問33より)
新システムに切り替えるためのスケジュール及び体制
(ITパスポート 平成22年秋 問47より)
移行作業で問題が発生した場合に旧システムに戻す際の判断基準
(基本情報 令和元年秋午前 問56より)
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
受入れテスト
Ver.4.1
受入れテストは、利用者側が納入されたソフトウェアに行うテストです。
意図した運用環境でシステムを使用し、システムが意図した用途を達成しているかを確認します。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
サービスデスク
サービスデスクは、情報システムの利用者からの問合せに対する単一窓口(SPOC)です。
利用者からの障害連絡に対しては、障害の原因の究明ではなく、サービスの回復を主眼として対応します。
(ITパスポート 平成26年春 問37より)
サービス要求管理(記録と分類、優先度付け、実現、終了及び対応結果の記録ほか)の活動を行います。
インシデント管理を担当する部門に設置します。
(ITパスポート 平成31年春 問36より)
次のような、サービスデスクの役割が試験に出題されています。
システム障害が発生した際、既知の障害事象とその回避策の利用者への紹介する。
(ITパスポート 令和2年 問47より)
利用者からの問合せの受付けや記録を行う。
(ITパスポート 平成29年春 問52より)
問題をチェック!
R6年 問39 R5年 問36 R4年 問54
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
SPOC
Ver.4.1
SPOC(Single Point of Contact)
SPOCは、単一窓口のことです。
ユーザーからの問い合わせの対応窓口を一元管理します。
サービスデスクがその役割を担います。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
FAQ
FAQは、頻繁(ひんぱん)に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめておき、利用者が自分で検索できる仕組みです。
(ITパスポート 令和2年 問49より)
FAQは、「よくある質問」のことです。
利用者が問題を自己解決できるように支援する目的で設置します。
(ITパスポート 平成30年春 問41より)
問題をチェック! R5年 問51
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
チャットボット
Ver.4.0
チャットボットは、文字や音声による問合せ内容に対して、会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組みです。
(ITパスポート 令和2年 問49より)
(例)
商品の販売サイトで、利用者が求める商品の機能などを入力すると、その内容に応じて推奨する商品をコンピュータが会話型で紹介してくれます。
問題をチェック!
R4年 問49 R2年 問49 R元年 問43
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
AIOps
Ver.6.3
AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)
AIOpsとは、AIにIT業務で利用するビッグデータを学習させることで、IT運用の効率化や自動化を図る手法を指します。
現在のトラブルの原因を特定したり、これから起こりうるトラブルの予測ができるので、様々な脅威に対する予防や運用監視の効率化が可能です。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
ヘルプデスク
シラ外
ヘルプデスクは、顧客や従業員からの製品や情報システムについての技術的な問い合わせ(使い方、不具合)などに対応する部署です。
サービスデスクと同じような意味で使われることがあります。
マネジメント サービスマネジメント サービスマネジメントシステム
ファシリティマネジメント
具体的な施策を覚えようね。
ファシリティマネジメント
ファシリティマネジメントは、経営の視点から、システム環境を最善の状態に保つため、建物や設備などの保有、運用、維持が最適な状態となるように改善していくことです。
試験では、ファシリティマネジメントの具体的な活動が試験に出題されています。
電力消費量のモニタリング
(ITパスポート 平成31年春 問49より)
自家発電装置の適切な発電可能時間を維持するために、燃料の補充計画を見直す。
(ITパスポート 平成30年春 問53より)
サーバ室内の設備を、省エネ機器へ交換することによる維持コストの低減
(ITパスポート 平成29年秋 問51より)
コンピュータ室のある建物への入退館管理
(ITパスポート 平成28年秋 問37より)
部門サーバの設置場所は水漏れのおそれがある配水管の近くを避けた。
(ITパスポート 平成22年春 問39より)
問題をチェック!
R6年 問43 R5年 問48 R4年 問46
マネジメント サービスマネジメント ファシリティマネジメント
グリーンIT
グリーンITは、情報技術(IT)を活用した環境負荷低減につながる考え方・取組のことを指します。
次の2つの側面があります。
・「PCやサーバ、ネットワークなどの情報通信機器の省エネや資源の有効利用」(情報システムそのものの環境負荷低減)」
・「情報通信機器を利用することによって社会の省エネを推進し、環境を保護する」(情報システムによる環境負荷低減)」
マネジメント サービスマネジメント ファシリティマネジメント
UPS
UPS(Uninterruptible Power Suppl:無停電電源装置)
UPSは、停電や落雷などによる電源の電圧の異常を感知したときに、それをコンピュータに知らせると同時に電力の供給を一定期間継続して、システムを安全に終了させるために、コンピュータと電源との聞に設置する機器です。
(ITパスポート 平成29年秋 問74より)
問題をチェック! R5年 問48
マネジメント サービスマネジメント ファシリティマネジメント
サージ防護
雷サージは、雷によって発生し、電源線、通信線、電気・電子機器に加わる一時的に発生する短時間の異常な過電圧や過電流です。
これらの過電圧・過電流が侵入すると機器やその中のデータが一瞬で破壊されます。
サージ防護は、雷サージの侵入ルートに、雷サージを安全に放流する機器を設置するなどして、雷から対象とする機器(パソコンなど)等を守ることです。
問題をチェック! R4年 問41
マネジメント サービスマネジメント ファシリティマネジメント
まとめ
これまで、マネジメント系「サービスマネジメント」について、出題傾向、学習ポイント、最新の重要な用語について解説しました。
【出題傾向】
「サービスマネジメント」から、6問程度(マネジメント系20問中)出題されます。
平成6年過去問題(公開)では、5問でした。
【学習ポイント】
・サービスマネジメント
→ITILとSLAの内容を区別して覚えましょう。
・サービスマネジメントシステム
→過去問題がたくさんあります。過去問題で問題が解けるか確認しましょう。
・ファシリティマネジメント
→具体的な施策を覚えましょう。
【重要用語】
各用語の説明を理解したら、過去6回分の過去問題演習に力を入れましょう。
以上、マネジメント系「サービスマネジメント」について説明しました。
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