令和3年 問37
システムの利用者数が当初の想定よりも増えてシステムのレスポンスが悪化したので、増強のためにサーバを1台追加することにした。動作テストが終わったサーバをシステムに組み入れて稼働させた。この作業を実施するITサービスマネジメントのプロセスとして、適切なものはどれか。
正解の理由(令和3年 問37)
リリース及び展開管理では、ITサービスで利用する新しいソフトウェアを稼働環境へ移行するための作業を確実に行います。
問題に「動作テストが終わったサーバをシステムに組み入れて稼働させた。」とあるので、リリース及び展開管理です。
よって、正解は エ です。
不正解の理由(令和3年 問37)
ア インシデント管理では、発生した問題によって生じたサービスの低下や停止から、可能な限り迅速にサービスを復旧させます。
イ 変更管理では、ITサービスに関する変更要求に基づいて発生する一連の作業を管理します。
ウ 問題管理では、将来発生する可能性のある問題の原因を取り除き、問題発生を未然に防ぎます。
令和3年 問44
ITサービスマネジメントにおいて、サービスデスクが受け付けた難度の高いインシデントを解決するために、サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねることはどれか。
正解の理由(令和3年 問44)
サービスデスクは、情報システムの利用者からの問合せに対する単一窓口(SPOC)です。
サービス要求管理(記録と分類、優先度付け、実現、終了及び対応結果の記録ほか)の活動を行います。
インシデントは、システムやサービスに何らかの問題が発生し、ユーザーが本来できることが出来ない状況を指します。
エスカレーションは、業務上の下位者が対応できない状態において、下位者が上位者の指示を仰ぐ、または対応を引き継ぐことです。
問題に「サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委(ゆだ)ねる」とあるので、 エスカレーションが適切です。
よって、正解は ウ です。
不正解の理由(令和3年 問44)
ア FAQは、「よくある質問」のことです。
FAQは、頻繁(ひんぱん)に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめておき、利用者が自分で検索できる仕組みです。
(ITパスポート 令和2年 問49より)
利用者が問題を自己解決できるように支援する目的で設置します。
(ITパスポート 平成30年春 問41より)
イ SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)は、サービス及びその合意されたパフォーマンス(品質・性能など)が記載された、サービス提供者とサービス利用者との間の合意文書です。
エ ワークアラウンドは、障害が発生した際になされる応急処置です。根本的な問題解決をはかることを前提にして、一時的に問題点を回避したり、障害の影響が広がるの防ぐことです。
令和3年 問45
ITILに関する記述として、適切なものはどれか。
正解の理由(令和3年 問45)
サービスマネジメントは、価値を提供するため、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を、指揮し、管理することです。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、サービスマネジメントのフレームワーク(枠組み)です。
(ITパスポート 令和元年 問50より)
Information Technology(インフォーメーション テクノロジー)には「情報技術」、Infrastructure(インフラストラクチャー)には「基盤」、Library(ライブラリ)には「図書室」などの意味があります。
ITサービスの提供とサポートに対して、ベストプラクティス(成功事例)を提供しています。
(ITパスポート 令和3年 問45より)
よって、正解は ア です。
不正解の理由(令和3年 問45)
イ 「ITシステム開発とその取引の適正化に向けて、作業項目を一つ一つ定義し、標準化している。」とあるので、SLCPの記述です。
SLCP(Software Life Cycle Process)は、ソフトウェア開発とその取引の適正化に向けて、それらのベースとなる作業項目を一つ一つ定義し、標準化した共通フレームです。
(ITパスポート シラバスVer.6より)
ソフトウェア、システム、サービスに関係する人々が“同じ言葉を話す”ことができるよう、開発工程について共通の枠組みを決めたものです。
ウ 「ソフトウェア開発組織の成熟度を多段階のレベルで定義している。」とあるので、CMMIの記述です。
CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)は、システム開発組織及びプロジェクトにおけるプロセス(仕事を進める方法や手順)の成熟度を5段階のレベルで定義したモデルです。
(ITパスポート 平成24年春 問38より)
開発と保守のプロセス(仕事を進める方法や手順)を評価、改善するに当たっての指標です。
エ 「プロジェクトマネジメントの知識を体系化している。」とあるので、PMBOKの記述です。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge:ピンボック)とは、プロジェクトマネジメントの知識や手法を体系化したものです。プロジェクトマネジメントの参考書のようなものです。
令和3年 問52
自社の情報システムに関して、BCP(事業継続計画)に基づいて、マネジメントの視点から行う活動a~dのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a 重要データのバックアップを定期的に取得する。
b 非常時用の発電機と燃料を確保する。
c 複数の通信網を確保する。
d 復旧手順の訓練を実施する。
正解の理由(令和3年 問52)
BCP(事業継続計画)は、大規模な災害などによって、企業活動を支える重要な情報システムに障害が発生したような場合でも、経営資源が縮減された状況における重要事業の継続を可能にするために、あらかじめ策定する計画です。
(ITパスポート 平成23年特別 問24、平成28年秋 問7より)
a 情報システムにはデータが必要なので、「重要データのバックアップ」は適切です。
b 情報システムには電力が必要なので、「非常時用の発電機と燃料の確保」は適切です。
c 情報システムには通信が必要なので、「複数の通信網の確保」は適切です。
d 情報システムの立ち上げには手順があるので、「復旧手順の訓練実施」は適切です。
よって、a ~ d のすべてが適切なので、正解は イ です。
令和3年 問53
ITサービスにおけるSLMに関する説明のうち、適切なものはどれか。
正解の理由(令和3年 問53)
SLM(Service Level Management:サービスレベル管理)は、サービスレベルを利用者と提供者が合意し、それを維持・改善するためのものです。
SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)は、サービス及びその合意されたパフォーマンス(品質・性能など)が記載された、サービス提供者とサービス利用者との間の合意文書です。
イ SLAで合意したサービスレベルを維持するためには、「サービスの提供状況のモニタリングやレビュー」が必要です。
よって、正解は イ です。
不正解の理由(令和3年 問53)
ア 「サービスの品質の改善」もSLMの目的なので、「サービスの品質の改善は補助的な活動となる。」は不適切です。
ウ SLMは、サービスレベルを利用者と提供者が合意し、それを維持・改善するためなので、「SLAの作成が活動の最終目的である。」は不適切です。
エ 「 SLAで合意するサービスレベルを容易に達成できるレベル」では、継続的なサービス品質の改善は望めません。
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