
シラバスが変わって「前より難しくなった。」って、みんな言っているけど、受けるのどうしようかなあ。

ちょっと待って! IPAの統計資料と過去問題(公開)で確かめてみようね。
この1年の合格率は平均49.8% シラバス変更の影響は見られない。
試験の主催者(IPA)が発表した統計資料から、受験者数と合格率をグラフにしました。

全体の傾向
合格率に大きな変化はなく、平均49.8%です。
この1年間にシラバスの切り替えが2回もあって、多くの受験者を不安にさせました。
しかし、その影響は合格率には表れるほど、大きくなかったようです。
ただし、最近の過去問題を分析すると新出用語が多く出ているので、シラバスの新出用語対策は必要でしょう。
なお参考に、受験者数がITパスポート試験と同じくらいの日商簿記3級(ネット受験、2024年4月~2024年6月)では、合格率 40.3% でした。
12月 合格率 低下
12月の合格率が下がっています。
例年、受験者が増えると、合格率が下がる傾向があります。
受験者数が増えているので、12月の合格率低下も、年度末が近づいて(準備不足のまま突破を試みる)受験者が増えたためと考えられます。
シラバス6.3になって、出題範囲が広くなったためでないでしょう。
4月~6月 合格率 上昇
4月~6月の合格率が上がっています。
受験者数が大幅に減ったためと考えられます。
この時期の受験者は、4月にシラバスが切り替わったばかりであることを警戒して、慎重に受験したと推測します。
シラバス6.2がシラバス6.3より出題範囲が狭かったためではないでしょう。
令和6年過去問題(公開)を分類する
みちとも は、長年、ITパスポート試験対策をしてきた経験から、シラバスと照らし合わせて、試験問題を次の3つに分類しています。
以前からシラバスにある用語の問題:
シラバス3以前からあった用語の問題です。
過去(公開)問題に多くあり、よく目にしているので、試験でも自信を持って答えられることが多いです。
シラバスの新出用語の問題:
シラバス4以降の新出用語の問題です。
出題例が少ないため、対策が手薄になりやすいです。試験の時に不安が多い問題です。
シラバスにない用語の問題:
極めて出題例が少ないため、対策がほとんどできません。試験で、とても不安になる問題です。
試験の時に、新出用語の問題やシラバスにない用語の問題が多いと、問題を難しく感じるでしょう。
そこで、これらの基準で令和6年過去問題(公開)を分類して出題傾向を調べました。
ストラテジ系の出題傾向は、前年とほとんど変化なし
ストラテジ系では、問題が少なくて過去問題演習で対策しにくい「新出用語の問題+シラバスにない用語の問題」の方が、過去問題演習でよく目にして対策しやすい「以前からある用語の問題」より少し多いです。
この傾向は、令和5年とほとんど変化が有りませんでした。
対策しやすい | 対策しにくい | |
以前からある用語の問題 | 新出用語の問題 | シラバスにない用語の問題 |
15問 | 14問 | 6問 |
1問 増 | (4.0 6問) 2問 増 | 2問 減 |
(5.0 6問) 3問 減 | ||
(6.0 2問) 2問 増 |
マネジメント系の出題傾向も、前年と変わりなし
マネジメント系では、過去問題演習でよく目にして対策しやすい「以前からある用語の問題」がとても多いです。
もともと、マネジメント系では新出用語が少ないです。
この傾向は、令和5年と変わっていません。
対策しやすい | 対策しにくい | |
以前からある用語の問題 | 新出用語の問題 | シラバスにない用語の問題 |
15問 | 2問 | 3問 |
1問 減 | (4.0 2問) | 1問 増 |
(5.0 0問) | ||
(6.0 0問) |
テクノロジ系は、シラバス6以降の新出用語、シラバスにない用語の問題が増加
テクノロジ系では、過去問題演習でよく目にして対策しやすい「以前からある用語の問題」が、問題が少なくて過去問題演習で対策しにくい「新出用語の問題+シラバスにない用語の問題」より少し多いです。
しかし、内訳をみると、シラバス4や5の新出用語が減り、シラバス6の新出用語やシラバスにない用語の問題が増えています。
最近の技術の進展に対応した出題がされている結果と思われます。
シラバス6以降の新出用語を覚えること、シラバスにない用語の問題を繰り返し解くことが重要になっています。
対策しやすい | 対策しにくい | |
以前からある用語の問題 | 新出用語の問題 | シラバスにない用語の問題 |
23問 | 10問 | 12問 |
(4.0 2問) 3問減 | 3問 増 | |
(5.0 4問) 2問減 | ||
(6.0 4問) 2問増 |
ITパスポートをあきらめるのはもったいない
これまで、合格率や出題傾向を見てきましたが、一般に言われているほど、大きく変化していません。
さまざまな意見はありますが、これまで通り、「ITパスポート試験は、多くの人が合格をねらえる国家試験」であることは間違いないです。
ただし、他の資格試験と同じような「過去問題を何度も繰り返し解く勉強方法」だけでは、合格まで遠回りすることでしょう。
次の記事では、過去問からの出題傾向を明らかにし、効率のよい過去問演習方法を紹介しています。
過去問題演習だけでなく、新出用語対策が重要
これまで見てきたように、ITパスポート試験では、過去問題演習でよく目にして対策しやすい「以前からある用語の問題と、問題が少なくて過去問題演習で対策しにくい「新出用語の問題 + シラバスにない用語の問題」が、だいたい同じくらい出題されます。
過去問題演習は比較的取り組み易く、時間を多く割いてしまいがちです。
そのため、意識して、「新出用語の問題 + シラバスにない用語の問題」の対策をすることが重要です。
次の記事を活用されることをおすすめします。
また、ITパスポート試験はとても広い分野から出題されるので、試験範囲をすべてしっかり勉強することは現実的でありません。
ある程度流す部分としっかり時間をかける部分を間違ないよう、次の記事をご活用ください。
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