令和2年 問38
サービス提供者と顧客双方の観点から、提供される ITサービスの品質の継続的な測定と改善に焦点を当てているベストプラクティスをまとめたものはどれか。
–正解の理由–
ベストプラクティスは、何かを行う方法や、実際に行った例の中で、最も効率のいい、あるいは、最も効果のある方法や例のことです。
簡単に言うと”お手本”です。
ITILは、Information Technology Infrastructure Libraryの略です。
Information Technology(インフォーメーション テクノロジー)には”情報技術”、Infrastructure(インフラストラクチャー)には”基盤”、Library(ライブラリ)には”図書室”などの意味があります。
ITILは、ITサービスの提供とサポートの管理(サービスマネジメント)について、お手本(ベストプラクティス)をまとめたものです。
問題文に”ITサービスの品質の継続的な測定と改善に焦点を当てているベストプラクティス”とあるので、ITILについての記述です。
よって、正解は ア です。
–不正解の理由–
イ 共通フレームは、「ITシステム開発の作業規定」です。ソフトウェアの構想から開発、運用、保守、廃棄に至るまでのライフサイクルを通じて必要な作業項目、役割等を包括的に規定した共通のルールが書かれています。
ウ システム管理基準は、企業などの組織が情報システムの適切な管理をするために知っておくべき事柄のガイドラインです。
エ 内部統制は、企業の事業目的や経営目標を達成するために、業務の効率化、財務報告、法令遵守、資産の保全などについてのルール、仕組みを整備して、適切に運用することです。
令和2年 問39
A社の IT部門では、ヘルプデスクの可用性の向上を図るために、対応時間を24時聞に拡大することを検討している。ヘルプデスク業務を A社から受託している B社は、これを実現するためにチャットボットをB社が導入し、活用することによって、深夜時間帯は自動応答で対応する旨を提案したところ、A社は24時間対応が可能であるのでこれに合意した。合意に用いる文書として、適切なものはどれか。
–正解の理由–
ヘルプデスクは、顧客や従業員からの製品や情報システムについての技術的な問い合わせ(使い方、不具合)などに対応する部署です。
チャットボットは、文字や音声による問合せ内容に対して、会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組みです。
SLAは、Service Level Agreement(サービスレベル合意書)の略です。
サービス及びその合意されたパフォーマンス(品質・性能など)が記載された、サービス提供者とサービス利用者との間の合意文書です。
”ヘルプデスク業務を A社から受託している B社は、これを実現するためにチャットボットをB社が導入し、活用することによって、深夜時間帯は自動応答で対応する旨を提案したところ、A社は24時間対応が可能であるのでこれに合意した。”から、関係を整理すると次のようになります。
サービス提供者→B社
サービス利用者→A社
合意されたパフォーマンス→ヘルプデスクの24時間対応
これより、合意に用いる文書はSLAが適切で、正解は エ です。
–不正解の理由–
ア BCPは、Business Continuity Plan(事業継続計画)の略です。
大規模な災害などによって、企業活動を支える重要な情報システムに障害が発生したような場合でも、経営資源が縮減された状況における重要事業の継続を可能にするために、あらかじめ策定する計画です。
イ NDAは、Non-Disclosure Agreement(秘密保持契約)の略です。
相手方に示す自社の秘密情報を、契約を結ぶ予定の用途と異なって使うことや、他人に示すことを禁止したい場合に締結する契約です。
ウ RFPは、Request For Proposal(提案依頼書)の略です。
ベンダ企業に対し、導入システムの概要や提案依頼事項、調達条件などを明示し、提案書の提出を依頼するための文書です。
令和2年 問43
あるコールセンタでは、顧客からの電話による問合せに対応するオペルータを支援するシステムとして、顧客とオペレータの会話の音声を認識し、顧客の問合せに対する回答の候補をオペレータのPCの画面に表示するAIを導入した。1日の対応件数は1,000件であり、問合せ内容によって二つのグループA,Bに分けた。AI導入前後の各グループの対応件数、対応時聞が表のとおりであるとき、AI導入後に、1日分の1,000件に対応する時間は何%短縮できたか。

–正解の理由–
①AI導入前の1日分の1,000件に対応する時間(全体)を T [時間] として、与えられた表の時間を[%]から[時間]で表します。

②AI導入後のグループAとグループBの対応時間の合計を求めます。
対応時間の合計=0.56T+0.2T=0.76T[時間]
③短縮された時間を求めます。
短縮された時間=AI導入前の対応時間-AI導入後の対応時間
=T-0.76T
=0.24T[時間]
④短縮された時間を割合で表します。
0.24T[時間]→24[%]
よって、正解は エ です。
令和2年 問47
システム障害が発生した際、インシデント管理を担当するサービスデスクの役割として、適切なものはどれか。
–正解の理由–
サービスデスクは、情報システムの利用者からの問合せに対する単一窓口(SPOC)です。
利用者からの障害連絡に対しては、障害の原因の究明ではなく、サービスの回復を主眼として対応する。
ア ”既知の障害事象とその回避策の利用者への紹介”は、早いサービスの回復につながる可能性があります。
よって、正解は ア です。
–不正解の理由–
イ~ウは、いずれも早いサービスの回復につながりません。不適切です。
令和2年 問49
ある会社ではサービスデスクのサービス向上のために、チャットボットを導入することにした。チャットボットに関する記述として、最も適切なものはどれか。
–正解の理由–
チャットボットは、文字や音声による問合せ内容に対して、会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組みです。
よって、正解は エ です。
–不正解の理由–
ア ”PCでの定型的な入力作業を、ソフトウェアのロボットによって代替することができる仕組み”は、RPA (Robotic Process Automation)の記述です。
イ ”人の会話の言葉を聞き取り、リアルタイムに文字に変換する仕組み”は、音声文字変換の記述です。
ウ ”頻繁に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめておき、利用者が自分で検索できる仕組み”は、FAQの記述です。
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