令和6年 問38
あるシステムの運用において、利用者との間でSLAを交わし、利用可能日を月曜日から金曜日、 1日の利用可能時間を7時から22時まで、稼働率を98%以上で合意した。1週間の運用において、障害などでシステムの停止を許容できる時間は最大何時間か。
正解の理由(令和6年 問38)
SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)は、サービス及びその合意されたパフォーマンス(品質・性能など)が記載された、サービス提供者とサービス利用者との間の合意文書です。
1週間の稼働日数は、月曜日~金曜日なので、5日間
1日の稼働時間は、利用可能時間が7時から22時までなので15時間
1週間の稼働時間は、15時間 × 5日間 = 75時間
稼働率が0.98だから、停止している時間の割合は、1 – 0.98 = 0.02
停止している時間は、75 × 0.02 = 1.5時間 となります。
よって、正解は イ です。
令和6年 問39
サービスデスクを評価するためには適切なKPIを定めて評価する必要がある。顧客満足度を高めるために値が小さい方が良いKPIとして、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a SLAで合意された目標時間内に対応が完了したインシデント件数の割合
b 1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合
c 二次担当へエスカレーションされたインシデント件数の割合
d 利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間
正解の理由(令和6年 問39)
KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)は、企業目標の達成に向けて行われる活動の実行状況を計るために設定する、重要な指標です。
(ITパスポート 平成27年春 問5より)
a 「目標時間内に対応が完了した」方が顧客満足度を高めるので、大きい方が良いKPIです。
b 「1回の問合せで解決ができた」方が顧客満足度を高めるので、大きい方が良いKPIです。
c 「二次担当へエスカレーションされ」ると、対応時間が長くなりかかり顧客満足度が下がります。小さい方が良いKPIです。
d 「つながるまでに費やした時間」が長いと顧客満足度が下がります。小さい方が良いKPIです。
よって、小さい方が良いKPIは、 c と d だけなので、正解は エ です。
令和6年 問43
情報システムに関する施設や設備を維持・保全するために行うリスク対策のうち、ファシリティマネジメントの観点から行う対策として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a コンピュータ室への入室を、認可した者だけに限定する。
b コンピュータの設置場所を示す標識を掲示しない。
c 利用者のPCにマルウェア対策ソフトを導入する。
正解の理由(令和6年 問43)
ファシリティマネジメントは、経営の視点から、システム環境を最善の状態に保つため、建物や設備などの保有、運用、維持が最適な状態となるように改善していくことです。
a 「コンピュータ室への入室を、認可した者だけに限定する。」は、施設や設備を維持・保全するために行うリスク対策です。
b 「コンピュータの設置場所を示す標識を掲示しない。」は、施設や設備を維持・保全するために行うリスク対策です。
c 「利用者のPCにマルウェア対策ソフトを導入する。」は、ソフトウェアの管理です。設備を維持・保全するために行うリスク対策でありません。
よって、ファシリティマネジメントの観点から行う対策として適切なのは、 a と b だけなので、正解は イ です。
令和6年 問44
提供しているITシステムが事業のニーズを満たせるように、人材、プロセス、情報技術を適切に組み合わせ、継続的に改善して管理する活動として、最も適切なものはどれか。
正解の理由(令和6年 問44)
サービスマネジメントは、価値を提供するため、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を、指揮し、管理することです。
(IT パスポート試験 シラバス6.2より)
問題に「提供しているITシステムが事業のニーズを満たせるように」「人材、プロセス、情報技術を適切に組み合わせ、継続的に改善して管理する」とあるので、ITサービスマネジメントが適切です。
よって、正解は ア です。
不正解の理由(令和6年 問44)
イ システム監査は、情報システムに係るリスクに適切に対応しているかどうかを、高い倫理観の下、独立かつ客観的な立場のシステム監査人が検証・評価し、もって保証や助言を行うことです。
(IT パスポート試験 シラバス(Ver.6.1)より)
ウ ヒューマンリソースマネジメントは、人材を経営資源として捉え、社員のスキルや行動特性を管理し、人事戦略の視点から適切な人員配置・評価などを行うことです。
(基本情報 平成25年春午前 問70より)
エ ファシリティマネジメントは、経営の視点から、システム環境を最善の状態に保つため、建物や設備などの保有、運用、維持が最適な状態となるように改善していくことです。
令和6年 問46
ITサービスマネジメントの管理プロセスに関する記述a~cと用語の適切な組合せはどれか。
a ITサービスの変更を実装するためのプロセス
b インシデントの根本原因を突き止めて解決策を提供するためのプロセス
c 組織が所有しているIT資産を把握するためのプロセス
a | b | c | |
ア | 構成管理 | 問題管理 | リリース及び展開管理 |
イ | 構成管理 | リリース及び展開管理 | 問題管理 |
ウ | 問題管理 | リリース及び展開管理 | 構成管理 |
エ | リリース及び展開管理 | 問題管理 | 構成管理 |
正解の理由(令和6年 問46)
構成管理では、ハードウェア、ソフトウェアといったIT資産を網羅的に洗い出し、IT資産の管理台帳に記録し管理します。
問題管理では、将来発生する可能性のある問題の原因を取り除き、問題発生を未然に防ぎます。
リリース及び展開管理では、ITサービスで利用する新しいソフトウェアを稼働環境へ移行するための作業を確実に行います。
a 「ITサービスの変更を実装するため」とあるので、リリース及び展開管理が適切です。
b 「インシデントの根本原因を突き止めて解決策を提供する」とあるので、問題管理が適切です。
c 「組織が所有しているIT資産を把握する」とあるので、構成管理が適切です。
よって、正解は エ です。
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