生産部品の在庫管理問題の解説です。
このタイプの問題は、在庫管理業務のイメージを持つことがポイントです。
問題文と図を照らし合わせて、各問題の業務をイメージできるように練習しましょう。
また、次の用語は問題文に出てくるので、意味を覚えておきましょう。
※この問題に合わせて、用語を説明しています。
所要は、生産に必要な部品を指します。
在庫は、製品の生産のために仕入れた部品で、製品になっていないものを指します。
安全在庫は、不確定な需要の変動により、供給できない状態(欠品)が発生しないように、最低限保管しておく在庫を指します。
発注は、必要な部品の納入を取引先(部品の会社)に依頼することを指します。
入荷は、部品が取引先(部品の会社)から入ってくることを指します。
納品は、取引先の会社が発注を受けた部品を納めることを指します。
購買部品は、他社から買う部品であることを指します。
調達期間は、部品を発注してから納入までにかかる合計の時間のことを指します。
令和元年 問26
製品Aの生産計画量、部品Bの総所要量及び在庫量が表のとおりであるとき、第2週における部品Bの発注量aは何個か。
〔条件〕
・製品Aの生産リードタイム(着手から完成までの期間)は無視する。
・製品Aを1個生産するためには部品Bが2個必要であり、部品Bは製品Aの生産以外には使われない。
・部品Bの発注は、各週の生産終了後に行い、翌週の生産開始までに入荷する。
・部品Bの安全在庫は、当該週の部品Bの総所要量の25%とする。
・部品Bの第1週の生産開始前の在庫量を100個とする。
単位 個 | |||
第1週 | 第2週 | 第3週 | |
製品Aの生産計画量 | 40 | 40 | 20 |
部品Bの総所要量 | 80 | 80 | 40 |
部品Bの在庫量 (生産終了後) | 20 | ||
部品Bの発注量 | a |
正解の理由(令和元年 問26)
(1) 「求めるもの」と「条件」を確認します。
【求めるもの】
第2週における部品Bの発注量a
【条件】
問題にある条件を図にすると、次のようになります。
(2) 表の各セルが何を示しているのか、全体の流れと照らし合わせて確認します。
単位 個 | |||
第1週 | 第2週 | 第3週 | |
製品Aの生産計画量 | 40 | 40 | 20 |
部品Bの総所要量 | 80 | 80 | 40 |
部品Bの在庫量 (生産終了後) | 20 | ② | |
部品Bの発注量 | ① | a |
第2週の発注量aは、第1週、第2週の生産の結果です。そのため、第1週の発注量(表中①)から順に計算するといいことがわかります。
(3) 第1週の発注量(表中①)を計算します。
単位 個 | |||
第1週 | 第2週 | 第3週 | |
製品Aの生産計画量 | 40 | 40 | 20 |
部品Bの総所要量 | 80 | 80 | 40 |
部品Bの在庫量 (生産終了後) | 20 | ② | |
部品Bの発注量 | ① | a |
安全在庫は、不確定な需要の変動により、供給できない状態(欠品)が発生しないように、最低限保管しておく在庫です。
第1週の発注量 |
=[第2週の総所要量]+[安全在庫]-[第1週の在庫量(生産終了後)] |
= 80 + 80 × 0.25 - 20 |
= 80 →表中①へ |
(4) 第2週の在庫量(生産終了後)(表中②)を計算します。
単位 個 | |||
第1週 | 第2週 | 第3週 | |
製品Aの生産計画量 | 40 | 40 | 20 |
部品Bの総所要量 | 80 | 80 | 40 |
部品Bの在庫量 (生産終了後) | 20 | ② | |
部品Bの発注量 | ① 80 | a |
第2週の在庫量(生産終了後) |
=[第1週の在庫量(生産終了後)]+[第1週の発注量]-[第2週の総所要量] |
表中①より |
= 20 + 80 - 80 |
= 20 →表中の②へ |
(5) a 発注量を計算します。
単位 個 | |||
第1週 | 第2週 | 第3週 | |
製品Aの生産計画量 | 40 | 40 | 20 |
部品Bの総所要量 | 80 | 80 | 40 |
部品Bの在庫量 (生産終了後) | 20 | ② 20 | |
部品Bの発注量 | ① 80 | a |
a 発注量 |
=[第3週の総所要量]+[安全在庫]-[第2週の在庫量(生産終了後)] |
表中②より |
= 40 + 40 × 0.25 - 20 |
= 30 |
よって、正解は ア です。
令和5年 問33
製品Aを1個生産するのに部品aが2個、部品bが1個必要である。部品aは1回の発注数量150個、調達期間1週間、部品bは1回の発注数量100個、調達期間2週間の購買部品である。製品Aの6週間の生産計画と、部品a、部品bの1週目の手持在庫が表のとおりであるとき、遅くとも何週目に部品を発注する必要があるか。ここで、部品の発注、納品はそれぞれ週の初めに行われるものとし、納品された部品はすぐに生産に利用できるものとする。
週 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||
製品Aの生産個数 | 0 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 | |||
部 品 a | 所要数量 | 0 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | ||
手持在庫数量 | 250 | ||||||||
発注数量 | |||||||||
部 品 b | 所要数量 | 0 | |||||||
手持在庫数量 | 150 | ||||||||
発注数量 |
正解の理由(令和5年 問33)
(1) 「求めるもの」と「条件」を確認します。
【求めるもの】
遅くとも部品を発注する必要がある週
→部品が足りなく週に、ギリギリ間に合うように発注する週
【条件(文中にあるもの)】
[部品aについて]
・製品Aを1個生産するのに 2個必要
・1回の発注数量 150個
・調達期間 1週間
[部品bについて]
・製品Aを1個生産するのに 1個必要
・1回の発注数量 100個
・調達期間 2週間
条件を図に表すと、次のようになります。
(2) 部品aが不足する週を求めます。
週ごとに (手持ち在庫数量-所要数量) を求めることで、5週目で不足することがわかります。
(3) 部品aの発注が必要な週を求めます。
部品aの調達期間が1週間なので、遅くとも4週目に発注する必要があることがわかります。
(4) 4週目に発注することで、5週目に部品が足りることを確認します。
(5) 部品bの所要数量を求めます。
製品Aを1個作るのに部品bが1個必要なので、所要数量は各週40個です。
(6) 部品bが不足する週を求めます。
週ごとに (手持ち在庫数量-所要数量) を求めることで、5週目で不足することがわかります。
(7) 部品bの発注が必要な週を求めます。
部品bの調達期間が2週間なので、遅くとも3週目に発注する必要があることがわかります。
(8) 3週目に発注することで、5週目に部品が足りることを確認します。
(9) 発注が必要な週を、部品aと部品bで比較します。
部品aは4週目、部品bは3週目で発注が必要です。
製品Aを生産するためには、遅くとも3週目に発注する必要があります。
よって、正解は イ です。
ここまで、令和元年 問26、令和5年 問33について、部品発注の考え方や問題を解く手順を解説しました。
計算問題はだれでも苦手です。
でも、出題の内容がある程度限られているので、解き方を理解すると(業務イメージをつかむと)、用語をたくさん暗記するより確実に点数が取れます。
引き続きがんばりましょう。
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