損益計算書の問題についての解説です。
この分野から出題される問題はパターン化してるので、なじみの薄い言葉の意味さえ覚えてしまえば得点しやすいです。
はじめに確認しておきましょう。
次の用語は問題文に出てくるので、意味を覚えておきましょう。
収益は、会社に入ってくるお金を指します。預金の受取利息・配当金など本業以外で入ってくるお金も含みます。[収益]>[売上]となる場合が多いでしょう。
損益は、「損失」と「利益」を指します。損失が出ているときだけでなく、利益が出ているときにも使います。
利益は、収益から費用を差し引いたものです。
売上高は、本業で会社に入ってくるお金の合計を指します。
売上総利益(粗利)は、売上高から売上原価(商品を作るために必要な費用、または、商品を仕入れに必要な費用)を引いたものです。
営業利益は、売上総利益から、販売費(商品の販売やサービスの提供などに必要な経費)および一般管理費(販売とは直接には関係のない業務に必要な経費)を引いたものです。
経常利益は、営業利益に営業外の収益(受取利息、受取配当金など)を加え、営業外の費用(借入金の支払利息など)を差し引いたものです。
問題の順番は、基本的な内容から手間のかかる問題へとなっています。
問題を解きながら、少しずつステップアップしましょう。
令和3年 問29
粗利益を求める計算式はどれか。
ア (売上高)-(売上原価) |
イ (営業利益)+(営業外収益)-(営業外費用) |
ウ (経常利益)+(特別利益)-(特別損失) |
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税) |
|
正解の理由(令和3年 問29)
「売上総利益」は「粗利益」とも呼ばれます。
ア (売上高)-(売上原価)で、売上総利益(粗利益)が求められます。
よって 正解は ア です。
不正解の理由(令和3年 問29)
イ (営業利益)+(営業外収益)-(営業外費用)で、経常利益が求められます。
ウ (経常利益)+(特別利益)-(特別損失)で、税引前当期純利益が求められます。
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税)が当期純利益が求められます。
令和2年 問34
営業利益を求める計算式はどれか。
ア (売上総利益)-(販売費及び一般管理費) |
イ (売上高)-(売上原価) |
ウ (経常利益)+ (特別利益〉-(特別損失) |
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税) |
|
正解の理由(令和2年 問34)
ア (売上総利益)-(販売費および一般管理費)で、営業売上が求められます。
よって、正解は ア です。
不正解の理由(令和2年 問34)
イ (売上高)-(売上原価)で、売上総利益が求められます。
ウ (経常利益)+(特別利益)-(特別損失)で、税引前当期純利益が求められます。
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税)で、当期純利益が求められます。
令和4年 問30
営業利益を求める計算式はどれか。
ア (売上高)-(売上原価) |
イ (売上総利益) -(販売費及び一般管理費) |
ウ (経常利益)+(特別利益)-(特別損失) |
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税) |
|
正解の理由(令和4年 問30)
イ (売上総利益) -(販売費及び一般管理費)で、営業利益が求められます。
よって、正解は イ です。
不正解の理由(令和4年 問30)
ア (売上高)-(売上原価)は、売上総利益が求められます。
ウ (経常利益)+(特別利益)-(特別損失)で、税引前当期純利益が求められます。
エ (税引前当期純利益)-(法人税、住民税及び事業税)で、当期純利益が求められます。
令和3年 問28
次の当期末損益計算資料から求められる経常利益は何百万円か。
単位 百万円 | |
売上高 | 3,000 |
売上原価 | 1,500 |
販売費及び一般管理費 | 500 |
営業外費用 | 15 |
特別損失 | 300 |
法人税 | 300 |
正解の理由(令和3年 問28)
(1) 「求めるもの」と「条件」を確認します。
【求めるもの】
経常利益
【条件】
表にあるので省略
(2) 経常利益を求めるため、はじめに売上総利益を計算します。
売上総利益 |
=[売上高]-[売上原価] |
= 3,000 - 1,500 |
= 1,500 |
(3) 売上総利益をもとに、営業利益を計算します。
営業利益 |
=[売上総利益]-[販売費および一般管理費] |
(2)の結果より |
= 1,500 - 500 |
= 1,000 |
(4) 営業利益をもとに、経常利益を計算します。
経常利益 |
=[営業利益]+[営業外収益]-[営業外費用] |
(3)の結果より |
= 1,000 + 0 - 15 |
= 985 |
よって、正解は ウ です。
令和元年 問2
あるメーカの当期損益の見込みは表のとおりであったが、その後広告宣伝費が5億円、保有株式の受取配当金が3億円増加した。このとき、最終的な営業利益と経常利益はそれぞれ何億円になるか。ここで、広告宣伝費、保有株式の受取配当金以外は全て見込みどおりであったものとする。
単位 億円 | |
項目 | 金額 |
売上高 | 1,000 |
売上原価 | 780 |
販売費および一般管理費 | 130 |
営業外収益 | 20 |
営業外費用 | 16 |
特別利益 | 2 |
特別損失 | 1 |
法人税、住民税及び事業税 | 50 |
正解の理由(令和元年 問2)
(1) 「求めるもの」と「条件」を確認します。
【求めるもの】
最終的な営業利益と経常利益
【条件】
・「広告宣伝費が5億円増加」したので、販売費および一般管理費が5億増加します。
・「保有株式の受取配当金が3億円増加」したので、営業外収益が3億増加します。
・広告宣伝費、保有株式の受取配当金以外は全て見込みどおり
(2) 営業利益 、経常利益を求めるため、最初に売上総利益を計算します。
売上総利益 |
=[売上高]-[売上原価] |
= 1000 - 780 |
= 220(億円) |
(3) 営業利益を計算します。
営業利益 |
=[売上総利益]-[販売費および一般管理費] |
(2)の結果より 増えた広告宣伝費 |
= 220 -( 130 + 5 ) |
= 85(億円) |
(4) 経常利益を計算します。
経常利益 |
=[営業利益]+[営業外収益]-[営業外費用] |
(3)の結果より 増えた受取配当金 |
= 85 + 20 + 3 - 16 |
= 92(億円) |
よって、正解は ア です。
ここまで、損益計算書の問題を解説しました。
なじみの薄い用語が出てきましたが、問題がパターン化してるので得点しやすいはずです。
繰り返し練習しましょう。
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