令和3年4月の試験から,新しいシラバスにもとづいたITパスポート試験が行われています。
そこで,シラバスが変わってから初めて公開された令和3年春公開問題を分析して,シラバスが変わった影響を解説します。
シラバスのバージョン別の内容と試験問題
シラバスのバージョン別の内容と試験問題の分類
シラバスは,試験に合格するために,何をどの程度覚えるといいか書かれた指針です。
試験問題は,このシラバスにもとづいて作られています。
これまで、シラバスのバージョンが変わるたびに、シラバスに新しい内容が加わってきました。
そのため,試験問題は,シラバスのどのバージョンの問題か分類できます。

シラバス変更後初めての公開問題、新しい部分から出題10%
公開問題をシラバスのバージョン別に分類しました。
なお、「シラバスVer5.0の新しい内容(用語)の問題」を「シラバス5.0の問題」のよう示します。
シラバス5.0の問題は9問ありました。
ITパスポート試験の問題は100問ありますから、約10%です。
また, 約半分が令和になってからの内容です。


割合は変わるの?
シラバスバージョン別の問題数は、変わるのか?
シラバスのバージョン別の問題数は、変わるのでしょうか?
令和になってからの問題を比較しました。

次第にシラバス3.0の問題が少なくなり、逆に、シラバス4.0以降の新しい問題が増えています。

分野で違わないの?
では,分野ごとに見てみましょう。
ストラテジ系は、出題割合が一定

シラバス3.0の問題が約6割,シラバス4.0以降の問題4割です。
令和になってから変わりありません。

え!,半分近くがシラバス4.0以降の内容なの?
マネジメント系も、出題割合が一定

シラバス3.0が6割,シラバス4.0以降の問題が4割でした。
つまり,約半分が令和になってからの内容です。
令和になってから変わりありません。

マネジメント系もなんだ!
テクノロジ系は、新しい用語の問題が増加

シラバス3.0の問題が約6割,シラバス4.0以降の問題が約4割です。
半分以上が令和になってからの問題です。
しかも,年々,シラバス3.0の問題が少なくなり、シラバス4.0以降の新しい問題が増えています。
また,シラバスにない用語の問題も,約1割あります。
まとめ(シラバスのバージョン別の内容と試験問題)
ここまで,令和元年秋,令和2年秋,3年春の公開問題を,シラバスのバージョン別の内容に分類して調べたところ,次のことがわかりました。
ストラテジ系,マネジメント系
ほぼ半分が,令和になってからの内容
・シラバス3.0の問題:約6割,シラバス4.0以降の問題:約4割
令和になってから変わりなし。
テクノロジ系
半分以上が,令和になってからの内容で,しかも増えている。
・シラバス3.0の問題が5割以下
・シラバス3.0の問題が少なくなって、シラバス4.0以降の新しい問題が増えている。
シラバスにない用語も1割ある。
このことから,
新しい用語の問題が半分を占めていることから,新しい用語(シラバス4,4.1,5.0)の用語に取り組むことが重要でしょう。
似た問題が出ることが期待できないことから,古い過去問題に多く取り組んでも,効率が良くないでしょう。

ほかに変化したところないの?
特に変わったところ
IoTの問題が変わった。

ストラテジ系では、IoTの利用に関するわかりやすい問題が減り,IoTを利用した”システムのしくみ”に関する問題が出ました。
テクノロジ系では,IoTのセキュリティ,ネットワーク,コンピュータシステムに関する問題が増えました。
そのため,シラバス5.0に新しく追加になった”IoTの効果(監視・制御など)”,”IoTを構成する技術の名称,役割(アクチュエータ,エッジコンピューティングなど)”についての学習が必要でしょう。

IoTは,簡単な問題が多かったのに・・・
まずい!
AI関連の問題が変わった。

これまで、AIの問題は、毎回5問程度出ています。
内容も、AIの概要についての得点しやすい問題でした。
しかし、令和3年春の問題では、「AIの使われ方」の問題が少なくなり、AIを構成する技術に関する問題が多くなっていました。
新しい項目なので、試験の時これまで学習した用語から類推して答えることが出来ません。
ニューラルネッワーク,機械学習などの用語や新しい項目についての学習が必要になっています。

AIも新しい内容がポイントなんだ・・・
計算問題は,・・・
計算問題は、すべての分野から、毎回6問程度出ています。
シラバス5への改訂目的に、”大学・高専の数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)の創設を踏まえ、ITパスポート試験の出題の見直し”とありますが、令和3年春の公開問題では、計算問題は増えてはいません。

令和3年春公開問題にアルゴリズムの問題が出ました。
平成27年以来です。
シラバス変更の目的とも会うので、今後もアルゴリズムの問題が出ることでしょう。
その他,さまざまな分野から計算問題が出ています。
まとめ(その他のかわったところ)
IoT
ストラテジ系では、IoTの利用に関するわかりやすい問題が減り,IoTを利用した”システムのしくみ”に関する問題が出た。
テクノロジ系では,IoTのセキュリティ,ネットワーク,コンピュータシステムに関する問題が増えた。
AI関連
「AIの使われ方」の問題が少なくなり、AIを構成する技術に関する問題が多くなった。
計算問題
計算問題の数に変わりなし。
アルゴリズムの問題が出た。
その他,さまざまな分野から出題された。
以上,シラバスが変わってから初めて公開された令和3年春公開問題を分析して,シラバスが変わった影響を解説しました。

シラバスが変わった影響はわかったけど,実際,試験にはどこが出るの?
下の記事では,勉強の方法の3つのポイントについて話します。
コメント