2021年4月からの試験の出題範囲(出題の考え方)、シラバスが変更になりました。
今回は、試験対策での4つの注意ポイントと対策例を紹介します。
試験対策で注意すべき4つのポイント
シラバスには、学習の目標とその具体的な内容が書かれています。
つまり、問題を出す側が、「こんなところを勉強してきてほしい。」と言っているわけです。
ですから、「勉強してきてほしい内容が変わる」=「問題が変わる」なのです。
合格するためには、シラバスの変更内容を十分に理解して、対策をしなければなりません。
そこで、実施要綱、シラバスから試験対策での注意ポイントを読み解きました。
- 新しい用語について演習する問題 少
- 新しい用語が多いので、学習に時間が必要
- いつも問題が多く出る分野で新しい用語が多いため、的を絞った学習が必要
- 出題の考え方が変わり、名称を知ってるだけでは解けない問題が増える可能性 大
次に、詳細をお話しします。
新しい用語について演習する問題 少
出題範囲・シラバスの変更内容を大きく捉えると、次の通りです。
「数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」への対応
デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組みの進展等に関する近年の技術動向や環境変化への対応
IPA(情報処理推進機構)サイト
ITパスポート試験における出題範囲・シラバスの一部改訂について(数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラムへの対応など)より
当然、過去問題(公開問題)には、「数理・データサイエンス・AI」について参考になる問題が少ないです。また、現シラバス(Ver.4.0、4.1)の公開問題も3回分だけなので、「技術動向や環境変化」に関する問題も同様です。
そのため、ITパスポートのこれまでの過去問題(公開問題)だけでは、実戦的な力をつけるには不足です。
全体の追加用語が多いので、学習に時間が必要
シラバス5.0になって追加された、新しい用語の数は次の通りです。
ストラテジ系 156語
マネジメント系 6語
テクノロジ系 117語
合計 279語
あまり聞いたことのない用語がとても多く追加されているので、十分時間をかけて学習する必要があります。
なお、どのような用語が追加されたかは、今後の記事で紹介します。
いつも問題が多く出る分野で新しい用語が多いため、的を絞った学習が必要
次のように、いつも問題が多く出る分野注)で、新しい用語がたくさん追加されています。
注)シラバス4.0、4.1に基づいて行われた直近2回の公開問題(令和元年秋、令和2年秋)を分野別に分類して問題数を数えました。
・企業活動
(平均出題数5問)
56語 追加
・ビジネスインダストリ
(平均出題数10問)
51語 追加
・セキュリティ
(平均出題数19問)
33語 追加
五十音順やシラバスの項目順に用語を学習していては、試験で”覚えた用語があまり出なかった。”ということが起こりかねません。的を絞った学習が必要です。
なお、分野別の新しい用語の数などの詳細データは、今後の記事で紹介します。
出題の考え方が変わり、名称を知ってるだけでは解けない問題が増える可能性 大
出題の考え方の変更点で重要と思われる点は以下の通りです。
企業活動
・社会における IT 利活用の動向を問う。
・データ(ビッグデータを含む)を分析して利活用することによる,業務改善や問題解決の手法を問う。
ビジネスインダストリ
・AI の活用領域及び活用目的,AI を利活用する上での留意事項を問う。
(試験要綱 P18より)
変更ありません。(試験要綱 P18、19より)
基礎理論
・AI の技術(機械学習,ディープラーニングなど)について基本的な考え方を問う。
データベース
・データの分析,データベース設計,データモデルの考え方を問う。(試験要綱 P19)
・同時実行制御(排他制御),障害回復など,データベースのトランザクション処理の考え方を問う。
(試験要綱 P19より)
「IT 利活用の動向を問う」、「○○の考え方を問う」といたるところにあり、単純に用語の名称を覚えるだけでは解けないような問題が増える可能性が大きいです。
出題範囲・シラバス改定への対策
次の方法をお勧めします。
- (新しい用語について演習する問題が少ないことの対策)
他の試験区分の情報処理試験の問題で演習する。 - (全体の新しい用語が多いので、学習に時間が必要なこと、いつも問題が多く出る分野で新しい用語が多いため、的を絞った学習が必要ことへの対策)
よく出題され、かつ、新しい用語が多い分野から学習を始めて繰り返す。 - (出題の考え方変更の対策)
IT技術を使う場面を想定して用語を覚える。
次に、詳細をお話しします。
(新しい用語について演習する問題が少ないことの対策)
他の試験区分の情報処理試験の問題で演習する。
新しい用語が、他の試験区分の情報処理試験では、すでに出題されていることがあります。
例えば、「HEMS」があります。
ITパスポート試験の過去問題(公開問題)には、出題がありません。
しかし、基本情報技術者試験では、 平成31年春期 午前問71に出題されています。

このように、他の試験区分の問題を使って、追加になった用語について問題演習することができます。
現在、みちともデジタルでは、問題の抽出作業を行っています。
準備ができ次第、公表する予定です。
(全体の新しい用語が多いので、学習に時間が必要なこと、いつも問題が多く出る分野で新しい用語が多いため、的を絞った学習が必要ことへの対策)
よく出題され、かつ、新しい用語が多い分野から学習を始めて繰り返す。
よく出題される分野のうち、新しい用語が多い分野には、以下のような分野があります。
- 企業活動(平均出題数5問) 56語追加
- ビジネスインダストリ(平均出題数10問) 51語追加
- セキュリティ(平均出題数19問) 33語追加
このような分野からあたらしい用語の学習を始め、繰り返して学習すると効率的です。
なお、今後の記事で、分野別の追加された用語の数、過去2回分(令和元年秋、2年秋)の分野別の出題数を紹介します。
どの分野の問題から取り掛かればいいか、計画を立てることが出来ます。
(出題の考え方変更の対策)
IT技術を使う場面を想定して用語を覚える。
出題の考え方が変わった部分については、用語を覚えるポイントに注意しましょう。
みちともは、用語の解説を以下の視点を読んでいます。
- 名称
- 活用の目的
- 特徴(類似したもの、技術との違い)
- 使う領域・場面(例えば、工業、農業、医療など)での使い方
では、実際、どうすればいいでしょう。
行動は、思考の裏付けなので、
マーカーのラインの引き方一つ変えることで対応できます。
例えば、
私が見てきた高校生の多くは、ラインチェックのときに下の図のような引き方をしていました。

これを、下の図のように
視点①→視点②→視点③→視点④→視点⑤とそれぞれの視点を意識してチェックすると、
IT技術を使う場面を想定して用語を覚えることができます。

ラインチェックの例を紹介しましたが、視点を意識して暗記カードを作るのもいいと思います。
まとめ
今回の記事の重要ポイントは、次の通りです。
試験対策で注意すべき4つのポイント
- 問題演習するための問題が少ない。
- 全体の追加用語が多いので、学習に時間がかかる。
- 出題数の多い分野での追加用語が多いため、試験問題の変更が大きい。
- 出題の考え方が変わり、名称を知ってるだけでは解けない問題が出題されるようになる。
出題範囲・シラバス改定への対策
- (過去問題が少ないことへの対策)
他の試験区分の情報処理試験の問題で演習する。 - (全体の追加用語が多いので、学習に時間がかかることへの対策)
(出題数の多い分野での追加用語が多いため、試験問題の変更が大きいことへの対策)
よく出題され、また、追加された用語が多い分野から学習を始めて繰り返す。 - (出題の考え方変更の対策)
IT技術を使う場面を想定して用語を覚える。
今後、準備ができ次第、資料を公開していきます。
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